はじめに
こんにちは。Datarize CSOのパク・ミンソンです。
最近の日本出張中、MyNavi 様と 日本ネット経済新聞様の2社からインタビューを受けました。
どちらでも最初に聞かれた質問は同じでした。
「日本のEC市場をどのように見ていますか?」
複数の国のコマース環境を比較してきた立場から見ると現在の日本は非常に深い“転換点に立つ市場”だと考えています。
単に取引額が伸びているだけではなく、市場構造そのものを変える大きな変化が同時に起きているからです。
その中でも特に、成長機会を理解する上で重要なポイントは“市場規模“ “EC化率“ “物流イノベーション“です。
本ブログではその点にフォーカスしながら説明をしていきます。
目次
まず数値面から見てみます。
新型コロナ期の急成長後も勢いは落ちておらず、複数のレポートでは
2028年には約339兆円規模に到達すると予測されています。また注目すべきは利用者層の広がりです。
高所得層・スマートフォン普及率(約89.5%)そして購買力の高いシニア層のオンラインシフトが重なり、
日本EC市場は急激ではないですが、大きく成長を続けています。
参考:https://www.meti.go.jp/english/press/2024/0925_002.html
参考:https://netshop.impress.co.jp/node/12809
参考:https://ab.jcci.or.jp/article/104421/
EC化率はまだ10%未満ですが、その“伸びしろの大きさ”を生む背景には3つの構造変化があります。
オンラインショッピングが“特別なチャネル” → “生活インフラの一部”へと認識が変化。
購買力の高いシニア層がECへ流入し、市場の厚みを支えている。
消費者 × 物流 × プラットフォーム3つが重なりECは「実店舗の代替」ではなく生活インフラとして定着しつつあります。
参考:https://www.newsis.com/view/NISX20250703_0003238590
日本EC市場の今後を語る上で避けられないキーワードが物流です。
ただし韓国のような「配送スピード競争」ではなく、日本ならではの方向性を持っています。
「物流2024年問題」で浮き彫りになった課題
高齢化・少子化による配達員不足
玄関前配達への抵抗感による高い再配達率
一戸建てや細い路地が多い都市構造によるラストワンマイルの低い生産性
物流の生産性向上は、企業成長の制約要因から市場競争のテーマへと変化しました。
参考:https://jta.or.jp/logistics2024-lp/
韓国と日本の配送優先度の違いを見ると、進化の方向性が明確です👇
| 観点 | 韓国 | 日本 |
| 重要ポイント | 配送スピード |
配送の確実性 (時間指定・受け取りやすさ) |
日本ECの物流は、時間帯指定 × コンビニ受取 × ロッカー × ドローンを組み合わせた多層的UXへと進化しています。
物流の制約が緩和され、配送オプションが高度化すると次の競争テーマは顧客データの活用になります。
EC市場が成熟するほど、「誰に」「何を」「どう届けるか」の精度がブランド成長を左右します。
今回のインタビューや現地での調査を通じ、日本EC市場は「ただ拡大している市場」ではなく、
構造変化によって“長期的に深く成長していく市場”へシフトしていることを改めて実感しました。
日本EC市場の変化は、事業者にとって大きなチャンスが訪れているタイミングだと言えます。
✦本記事をお読みいただき、ありがとうございます。
情報収集中の方・日本EC市場に関心のある方の一助になれば幸いです。