韓国ブランドが日本市場に進出する際、最も大きなハードルの一つが「物流と通関」です。
本記事ではKtoJ(Korea to Japan)物流の現状、構造、実際のBtoCプロセスまでを実務者向けにわかりやすく整理します。
※後編では、通関規定や現地在庫運用、コスト最適化の具体策を紹介します。
韓国から日本への越境EC取引量は年間約90万件。
金額ではアメリカ市場が上位ですが、出荷件数では日本が米国に匹敵します。
日本は地理的にも近く、配送日数が短く、返品率も低いことから、
韓国ブランドにとって最も戦略的な越境市場のひとつです。
韓国内で人気の高いブランドカテゴリ
特筆すべきは、リセラー市場が全体の約40%を占めていることです。
日本の小規模事業者や転売業者が韓国商品をまとめて仕入れ、国内販売する構造が確立しています。このため、BtoCと小規模BtoBの両面が活発に展開されています。
日本の物流は、大手2社による寡占構造が特徴です。
これは韓国のような多数の宅配事業者が並立する市場とは異なり、
高品質・定時配送・追跡精度に優れたシステムとして知られています。
| 主な配送会社 | 特徴 |
|---|---|
| 佐川急便(Sagawa Express) | 韓国→日本EC配送の約90%を担当。越境ECのラストマイルで中心的役割 |
| ヤマト運輸(Yamato Transport) | “黒猫”ロゴで知られる宅配大手 |
佐川グループは、アジア・米国・欧州・アフリカを含む44カ国に拠点※を展開しています。
特にアフリカ地域にもネットワークを持つ点は、日本企業では非常に稀です。
このような市場構造は、品質の安定と責任の明確化につながり、
韓国ブランドが日本へ進出する際に信頼できる物流パートナーを選びやすいというメリットを持ちます。
※ 出典:SG Holdings Brand Tree (2025 May ver.)
BtoC越境ECとは、日本の消費者が韓国のECサイト(Shopifyや自社モールなど)で商品を直接購入し、個人消費目的で輸入する取引のことです。
韓国企業にとっては、日本の顧客に直接アプローチできる販売モデルであり、広告・CRM・物流を一体化させたデータドリブンな運営が可能になります。
このモデルは、韓国ブランドが日本市場で成果を上げるうえで欠かせない基本構造といえるでしょう。
韓国内配送と同様、以下の情報を正確に入力する必要があります。
注意:商品情報を情報 を[GIFT]など曖昧な表現にすると内容不明と判断され検査対象になりやすいです。また、単価を未記載にすると税関で申告エラーが出る場合もあります。
韓国では輸出通関、日本では輸入通関が必要です。ただし、書類が正確であれば
国内配送とほぼ同等のスピードで届きます。
| 曜日 | 時間 | プロセス | 補足 |
|---|---|---|---|
| 月曜日 | - | 韓国倉庫に入庫・検品・梱包 | - |
| 火曜日 | 午前 | 日本向け航空便で出発 | - |
| 火曜日 | 15:00 | 日本到着・通関開始 | 当日完了が一般的 |
| 火曜日 | 18:00 | 日本国内で配送開始 | - |
| 水曜日 | 午前 | 東京圏(関東)に配送完了 | 約2.5日で到着 |
地域別の配送目安
次回(後編)では以下の内容を解説します。
品目別通関規定まとめ
化粧品の「1日24点」ルールや、美白・アンチエイジング製品の注意点。
アパレル製品におけるニット/布帛の分類トラブルへの対応。
物流コスト最適化戦略(現地在庫運用)
月間7万件以上で倉庫移行を検討。
Ohoraの成功事例では25〜30%の物流コスト削減を実現。
為替・人件費・海上コンテナ輸送の最適化ポイント。
FAQ(よくある質問)